埼玉県と津波対策

どうも鯉の子です。
3月11日14時46分頃、三陸沖で深さ24kmにおいてM9.0の地震が発生し、そして10mを超える大津波が太平洋沿岸を襲った東日本大震災。今もなお進められる沿岸部の復旧・復興、福島第一原子力発電所からでた大量の放射線物質の除染作業と、作業が進められていますがそんな中2012年1月5日(木)の読売新聞朝刊第38面(社会面)にこんな見出しが載っていました。『埼玉県が津波対策 —荒川遡上を想定 災害計画に項目化へ—』と言う記事。それでは、読売新聞様の記事の一部をお借りしまして公表したいと思います。

埼玉県と津波

埼玉県は、県内で想定される津波被害を県の地域防災計画に項目として盛り込むため、具体的な検討作業をはじめた。東京湾津波が襲い、県内を流れる荒川を遡上する可能性があると指摘されている。事実、東日本大震災の際には、荒川河口(江戸川区)で0.8mの津波を観測した後、1.7mの水位変動津波単体の高さとは別に水位の動き)が確認され、そこから21km地点の岩淵水門(北区)では、1.2mの水位変動を確認、さらに河口から35km地点秋ヶ瀬取水堰(埼玉県志木市)では1m前後の水位変動が確認された。(下図参照)要するに東京湾で起こる潮位変動の変化(塩水くさび)を受ける地域である東京都、そして『海なし県』の代表例である埼玉県にまで津波が押し寄せた事になるのである。
自然災害とは、必ず1個とは限らない事を考えて欲しい。例えば、地震+台風などの様に被害が出るであろうW災害の事を『複合災害』と呼ぶが、仮に台風の影響で荒川河川敷を洪水流が流れている事と仮定しよう。そこへ最大級の地震が襲い津波が発生すると、地震の揺れによる『破堤』や洪水流+津波によって堤防を水が越える『越堤』の危険性もあるのだ。また、液状化現象で液状化した所から内部地割れを伝って堤内(住宅地)へ洪水流が噴出する『漏水』(註:原因には別説あり)やまだ我々が経験していない未知の災害も現れるかもしれない。
そう言った点を考えると、巨大河川を持ち、河川本数日本一の海なし県埼玉は『遡上津波の被害を視野に入れなければならなのである。この記事が出てからネット上では『資金欲しさ』『不謹慎県』と叩かれて(吊るし上げ)いますが、荒川や利根川の恐怖を知らない人がそう言う事が言えるんですよね。では話しを変えて、実際に水位変動を確認した釣り人の話と、びん沼川で発生した出来事を紹介して終わりにしたいと思います。

河川域で発生した出来事

1:地震発生時は荒川に架かる秋ヶ瀬橋付近で釣りをしていた方
竿先に付いていた鈴が変な風になるから「魚が餌を突っついているんだろう」と思った時に、地震に足元をとられ転倒。川岸と言う事もあって、法面崩落を考え這ったまま川岸から離れた。その後ラジオ放送で地震の事を知り、津波も知った。19時を過ぎた位に釣り友達と会って話していたら、「チャプン」と水がはねる音がしたので川岸を見てみると、なんとそれまで普通の岸辺が、川の中に沈んでいました。「まさか津波がココまで来るとは…」
とその時は思ったそうです。


2:びん沼川でへら鮒釣りをしていた方
護岸周りの水が変に波打っているなと思った途端に、まるでお椀の中の水が揺れる様な感じで川の水そのものが左右に揺れ始めた。簡易に取り付けたへら台はいとも簡単に川に落ちていくし、当然それに乗っていた私も川の中に台ごと引きずり込まれたんだ。川から上がってみると、ハンドブレーキが甘かった(もしくは入れてない)車が地震の揺れで少しずつ動いて、次々と土手の斜面を下って来て、何人かが轢かれた。あの時は、津波に襲われた様だと言っていたが、実際に大津波が発生していて驚いた。実家が大船渡なので急いで行きたいが、ガソリンが足りず行きたくても行けない。
とおっしゃっていました。


今回の大地震では、各都道府県・市区町村は大規模災害に備えていたが、想定をはるかに越え、対応に遅れがでたと言うケースが幾つも見られました。想定を超える災害はこれから幾つも襲うと思います。ですから、ありえない様なケースも想定の範囲内に収めなければならないのです。