労働災害として

どうも鯉の子です。
載せようか載せるのを辞めようかと考えましたが、この事故は単なる衝撃映像として見過ごす事は許されないとの個人見解に達した為、掲載を決行いたしました。

完成!ドリームハウス 2012年新春スペシャルで危うく発生しそうになった労働災害事故

この事案は、2012年01月09日(月)にテレビ東京(以下放送局)で放送された『完成!ドリームハウス 2012年新春スペシャル』放送内において、発生した法面崩落事故の扱い方があまりにもひどい事である。
テレビ放送を観ただけなので放送局側の都合でカットされていたが、恐らく大谷石の法面壁すぐそばに穴を開け基礎打ちの工事と思われるが、ここで幾つかの問題点がある。

1:『かなり古い大谷石なので、鉄筋などの補強物は無いと考えられるのに道路側に単管などで押さえを設置せず、そのまま作業が続行された。』
と言う点である。この場合は前記にも記した様に、大谷石の法面を単管やバタ角などで押さえ、法面崩落策を行なわかった事が今回の崩落事故を起した要因である。


2:『転倒した作業員の足元は、苔むした大谷石で出来た急階段でありまた踏面が狭い為、足場などの仮設物を設置するべきだった。』
と言う事である。『足元の危険は命の危険』と言われる様に足元の確保は建設をする人間にとって重要事項である。また『1mは1命取る(死亡)』と言われ、たかが1mと高を括れば、命を落とすと言う教えである。


3:『KYKを行ったのか不明確である。』
ここで言うKYKとは『危険予知活動』の事であるが、放送局側としては番組構成的にも正直面白くない場面である事は私にも分かる。しかし、映像を観る限りKYK表が見当たらないのである。この場合を考えると、この現場におけるKYKが実施されずみすみす危険を見過ごした可能性が高いと考えられる。


4:『掘り込み時に起きる掘込圧力を正しく見抜けなかった。または積算に入れていなかった』
写真にも写っている様に、ユンボで上部を掘りその後角部を採掘しているがその時、法面には相当数の外に逃げる圧力がかかる。その圧力により法面の崩落を防ぐ為に上記1の設置をする必要性があるがその設置を怠った為、石積のみの法面が耐えられない状況の所に写真の様な工法を行えば当然崩落災害が発生します。


以上は、建設現場においての危険箇所の説明でしたが当然、構成・放送した放送局にも責任があります。あの様に衝撃映像として視聴者に流すのではなく、この事案によって負傷者の有無、崩落が発生した原因を伝えなくてはいけません。単なるバラエティで終わらせるのではなく、もっと掘り下げた内容が欲しかったと感じました。
このブログでも度々言っている様に私はものつくり大学に通っている身であり、こう言った労働災害の危険性については大学の先生方によって身体に染み付いているものと自負しています。だからより一層この様な労働災害をハプニング映像として流されるのは、建設学科の一人として許さないことであり、大変遺憾に思うのです。建設の世界をなめられては困りますし、この墜落した人にも家族がいるんですよ。もしここで死亡災害が発生したら施工会社・テレビ東京は責任をとれるんですか?きちんとした安全策を講じていれば防げたはずのこの労働災害を今回は掘り下げた次第でございます。

鯉の子






 




労働災害の定義

上記でよく書かれている労働災害とはいかなるものなのか、ここでは法律を用いて説明する。
労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。』労働安全衛生法第2条1号より抜粋)


ハインリッヒの法則(1:29:300)

労働災害の事例を分析すると、1つの重大災害の裏には29の軽傷災害があり、さらにその裏には300もの『ヒヤリ・ハット』がある事が分かりました。これをハインリッヒの法則と呼びます。それまでの経験で不安全行動をしていても大きな災害がなかったからと慢心していると、大惨事につながります。