安讃備紀行23

どうも荒川鯉師です。
今回紹介するのは、岡山県に鎮座されます吉備津神社の境内にある『御竈殿』に伝わる御釜鳴動神事』を紹介します。それではどうぞ。

吉備津神社御釜鳴動神事

1579(天正七)年に再建された全長360mに及ぶ長い廻廊を進むと、多くの摂社・末社に出会う事が出来るが、その一つに御竈殿がある。御竈殿は、1612(慶長十七)年安原知種が願主となり再建された建物。
吉備津神社社殿伝によると、御祭神に退治された鬼「温羅」を祀る処と伝えられる。縁起によると、ある夜、吉備津彦命の夢に温羅の霊が現れて「吾が妻、阿曽郷の祝の娘阿曽媛をしてミコトの釜殿の神饌を炊かしめよ。若し世の中に事あらば、釜の前に参り給はば幸あれば裕かに鳴り禍あれば荒かに鳴らふ、ミコトは世を捨てて後は霊神と現はれ給へ吾が一の使者となりて、四民に賞罰を加へむ」と告げた。これ神秘な釜鳴神事のおこりである。今日も「鳴釜の神事」が行われており、鳴動の音の大小長短により吉凶禍福を卜するのである。
江戸時代の林道春の「本朝神社考」や上田秋成雨月物語吉備津の釜」などに紹介され、神秘な神事として天下に有名である。

うずなへる 神のひびきに鳴る窯の 音のさやけき 宮ところかな 重胤

神火授与

吾国では、古来より火は神秘的なものとして神聖視されて来ました。当御釜殿の火は古くから消える事なく伝わる神火で、この火で各家庭の火を清めると禍を祓い福を招くと伝えられ、今日でも特に火を取り扱われる人々が火縄にてお持ち帰りになって居ります。


参考:吉備津神社説明看板