出雲御国紀行9

どうも荒川鯉師です。
昨日の『出雲御国紀行7』を持って一通りの流れは終わりましたが、今回は細かくそして深く紹介して行こうかと思います。
そう言う訳で今回は出雲大社 古代御本殿岩根御柱心御柱)』を紹介致します。それではどうぞ。

古代御本殿岩根御柱心御柱

2001(平成13)年の境内発掘調査中に「天下無双の大厦・国中第一の霊神」と称えられていた古代の御柱が顕れました。
古代の御本殿の各御柱は、三本の巨木柱を一つに束ねて、更に巨大な一本の御柱として柱立てされました。このことは、宮司家の出雲國造千家家に伝蔵の古代御神殿図の「金輪御造営差図」によって知られていましたが、このたび顕れた御柱により、伝えられる「金輪御造営差図」の確かさが証明されました。
こうして、巨大な岩根御柱心御柱)を真中にして特異な工法で御造営された御本殿は、「天下無双」の高層の壮大な御神殿でした。
平安時代の子供用教科書である「口遊」(源為憲 著・970年)には、当時の巨大建築ベスト3を「雲太(出雲太郎—出雲大社)・和二(大和二郎—東大寺大仏殿)・京三(京都三郎—平安京大極殿)」と記され、出雲大社の御本殿が奈良県東大寺大仏殿(高さ45m)よりも大きかった事を世の常識として述べています。巨大な御柱で築き建てられた御本殿は高さ48mと伝えられ、「金輪御造営差図」は御本殿内に至る階段の長さを一町(約109m)と記されています。神楽殿にある国旗掲揚塔が高さ47mです。
往時、京より参詣に訪れた寂連法師は、「あまくもたなびく山のなかばで、かたそぎのみえけるなん、この世の事ともおぼえざりける」として、「やはらぐる 光や空に満ちぬらん 雲に分け入る ちぎの片そぎ」と、その類例のない高層・壮大な御本殿を仰ぎ見て感嘆して詠じました。
今回出土した柱は、長さ11.8m(6間半)、直径0.87m(2尺8寸8分)の掘立柱の一部であります。御本殿を形作っている御柱は周囲に8本で桁行、梁間とも2間で柱は全て円柱で、現在は礎石の上に立っていますが、近世までは根元を土中に埋めた掘立柱式でした。殿内の中心には心御柱と呼ぶ太い柱があります。心御柱は直径が約1.4mあり、大木の杉柱3本を合せ鉄の輪で束ねて1つの柱としました。平成12年4月現在の拝殿北側から巨大な御柱が出土、直径135cmの杉の巨木3本を束ねた状態でした。出土した柱の上には焦土と共に祭祀用土器や勾玉、鉄製手斧ほかも出土しました。柱にはベンガラが付着、大釘にもベンガラ塗痕が見られたそうです。
—参考文献—
出雲大社境内説明板
出雲大社由緒略記
(※一部改文しております。ご了承下さい。)