出雲御国紀行14

どうも荒川鯉師です。
須佐之男命が御詠みになられた八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣作る その八重垣を』の句はどう言った経緯があったのか、今回は古事記の一部を読んでみましょう。
と言う訳で今回は『八雲を読むまで』を紹介致します。それではどうぞ。

八雲を読むまで

須佐之男命は天照大御神との誓約で、心の正しい事が明らかにされ、高天原に住むのを許されました。しかし須佐之男命は天津罪とされる大きな失敗を犯しました。それは須佐之男命が皮を剥ごうとした馬が祭祀の為に布を織る建物に暴れ込んだのです。
天照大御神は責任を感じ、天の岩屋に身を隠れてその入口を岩でふさがれてしまいました。太陽の神である天照大御神が隠れてしまうと、天も地上も闇となってしまい、人々は世界を再び明るくする為に、天の岩屋の前で盛大な祭が行われました。そうすると天照大御神は外の騒ぎを見ようと入口を開けられると、力持ちの神が強引に彼女を外に引き出し、再び世界に光が戻りました。
須佐之男命は、責任をとって出雲國の斐伊川上流の鳥髪と言う地に降りられると、そこに箸が流れて来ました。その箸の主を求めて川上を進んで行かれると、そこには一件の屋敷がありました。須佐之男命が中を覗くと老人夫婦と若い姫が泣いておられました。須佐之男命が訳を聞くと、お爺さんはこう答えました。「私は山の神の大山津見神の子神です。私たち夫婦に八人の娘がおりましたが、山俣大蛇という恐ろしい化け物が毎年やって来て、娘を一人ずつ取って行ってしまいました。その大蛇が今夜、最後に残った櫛名田姫を食べに来ます。」
この話を聞かれて須佐之男命は元気な声で、「私がその怪物を退治しましょう。」
と言われました。
須佐之男命は八つの門を設けた垣根を築かせ、強い酒を大量に作らせました。すると八俣大蛇は酒の入った樽を見つけると頭を突っ込んでガブガブと飲むと、酔いが回り寝込んでしまいました。そこで須佐之男命は十拳剣で大蛇に切りかかりました。酒が回って力が出せず、須佐之男命に討伐されてしまいました。その時八俣大蛇から剣が現れました。それが「草薙剣」です。
八俣大蛇を退治した功績が認められ老夫婦から櫛名田姫を娶事を許された須佐之男命は出雲國の地で新居をお探しになり、見晴らしの良い土地に立派な宮殿をお建てになりました。その時、二人のご成婚を祝福するかの様に雲が幾重にもモクモクと立ち昇りました。その情景を須佐之男命は歌に詠まれました。これが、
八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣作る その八重垣を』
となります。