安讃備紀行-2

どうも荒川鯉師です。
さて、早速ではありますが細かい場所の案内を致します。今までは大まかに紹介した後、細かな説明をしていましたが、いかんせん時間に限りがありますので、ご了承下さい。
それでは参りましょう。本日は広島県尾道市に鎮座されます『艮神社』(うしとらじんじゃ)を紹介します。それではどうぞ。

艮神社

創建は大同元(806)年と伝えられる。祭神は、伊邪那岐神天照大御神・素戔男命・吉備津彦命を祀り、社殿は千光寺山を背にして東に面している。境内には楠の巨木群があり、県の天然記念物に指定されている。樹齢は一番大きい木で800年〜1000年である。千光寺山は巨石が多く、山頂付近にある千光寺にも多くの巨石がある。そしてこの神社にも巨石が注連縄で注められており、推測であるが大岩を信仰する「磐座信仰」が行われていたのではないだろうか。旧尾道西半分の産土神で、明治の社格では村社に指定されている。
社殿は切妻造り妻入りであり、両方の屋根に置千木・鰹木が備わっている。その二つの千木の削ぎ方が違い、大屋根は内削ぎで小屋根は外削ぎになっている。男神・女神の二柱いらっしゃる事を象徴しているのか?しかし、この男女説には根拠は無い為、謎のままである。
本殿は、切妻造り平入りで、棟持柱や鞭懸、屋根から飛び出る様にある本来の千木を要した建築構造である事から「神明造り」「伊勢造り」とも言われ、伊勢神宮に代表される本殿の造りである。
さて「艮」とは「丑寅」の事であり、北東の鬼門を示している。日光東照宮も江戸から鬼門の位置にあり、徳川家康公が江戸を守ると言う事で、東照宮は鎮座しているが、ではこの艮神社が仮に同じ役目だとしたら、一体何に対して鬼門守護を行っているのか?日本地図を開き、艮神社本殿直上に北東の線を引くと大三島にぶち当たった。この大三島には大山祗神社が存在する。神社を守護する為の神社と考えると…なかなか興味深い神社である。これはスクープとインターネットで調べると、同じような事を考察している先人がおり、上には上がいた事を痛感した。
さて、話が脱線したがこの神社の直上をなんとロープウェイが走っている。この光景は全国を探してもこの艮神社だけではないだろうか?神門の上にはロープウェイからの落下物を防ぐ為の金網が設置されている。しかし、ここで問題が生じている。写真を見てもらうと分かるのだが、金網から垂れた錆汁が銅板葺の屋根に滴下し、錆びさせてしまっている。また、意外と知られていないが、木材は錆びにも弱い。その為神社を改修する際、一番直近の足場または全体の足場を丸太足場(木製の足場)にする社寺建築専門工事業者が多い。早急に対策をしないと朽ちてしまい、取り返しのつかない事になってしまう。