埼玉県が警戒すべき内陸地震-2

どうも荒川鯉師です。
さて昨日の続きですが、前回作の埼玉県が警戒すべき内陸地震-1をご覧になってから今回作をご覧頂くと幸いです。
と言う訳で今回は郷土史研究にも関わるお話ですが、埼玉県を震源とする強地震の代表西埼玉地震を紹介致します。それではどうぞ。

西埼玉地震

1931(昭和6)年9月21日11時19分頃、埼玉県北部(深谷市)を震源とするM6.9の地震が発生した。深さは0km、3km、17kmと多くの説があるが、西埼玉地震を綴った『西埼玉強震報告』(著:埼玉県熊谷測候所)に記載されている『深さ17km』を公式記録として紹介する。総振動時間は約30分であり、長い揺れが続いていた事が分かる。最大の余震は二週間後に発生したM5.6地震であり、余震は三週間程続きました。この地震関東平野北西縁断層帯が左横ずれの断層運動があったものと推測されます。有感震度範囲は北は東北地方から南は近畿地方まで広い範囲で震度を観測しました。
被害は埼玉県を流れる荒川や群馬県利根川流域低地に甚大な被害を及ぼしました。全体で、死者16人・負傷者146人・住家全壊76棟・住家半壊124棟・煙突倒壊133塔などの被害を生じました。上記に記した西埼玉強震報告を見ると、吹上駅が半壊し斜め支柱で支えられている写真や、小林村(現寄居町)の民家倒壊の写真が目に入りますが、低地で発生した地震の特徴的現象である液状化現象』の写真が掲載されており、当時は『泥水湧水』と説明されていました。また、レンガの産地である深谷ではレンガ製の煙突37.5mの25.5m部分から折れる被害が報告されています。また、関東の広い範囲で地滑りや井戸水の濁りが発生し、栃木県宇都宮・日光・佐野地方では水道管の破裂が報告されています。
これがもし現代で発生した場合の想定を埼玉県が2007(平成19)年に『埼玉県地震被害想定調査』を出しており、それによると西埼玉地震を起した深谷断層の部分を見てみると、M7.5の地震が発生した場合には震央付近で最大震度7を観測します。最大震度が6強以上となる市区町村は、中部から北部を中心に22市町存在します。液状化危険度が「高い」地域は、北部の利根川流域に広く分布しており、また荒川下流域でも警戒をするべきである。全壊家屋は約1万2千棟に達し、そのうち揺れによるものは約1万棟液状化によるものは、約2千棟と言われています。揺れの被害が大きいのが特徴です。他にもこの調査書には火災による被災状況や人的被害の予想値が掲載されている他、他の断層地震に関しての記述もありますので、ぜひご参照下さい。なお、この資料はPDFが使用されています。
最後に、1923(大正12)年に発生した関東大震災で被災した物理学者 寺田寅彦氏が壊滅した東京を目にして手記に書き綴った言葉がある。
「いつも忘れがちな重大な事項がある。それは文明が進めば進むほど天然の暴威による災害が、その激烈の度を増す。と言う事実である。」と言う言葉があるが、まるで東日本大震災を予測してた様な内容だと私は感じます。

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